USJのアトラクションにもなるくらい世界に名を馳せたサメ映画の原点『ジョーズ』。
ホラー映画の中では水中から迫りくるサメの恐怖ということで何とも斬新な発想だったことから続編も4作公開されました。
さらに『ディープブルー』や『ロスト・バケーション』などのサメを題材にした映画も数多く登場しましたよね。
で、ここで1つ疑問に思うことがあります。
何で映画のタイトルは『SHARK(シャーク)』ではなく『JAWS(ジョーズ)』なのかということ。
小さいとき英語の知識なんてカケラも持っていなかった僕は、サメは英語で”ジョーズ”なのだと思い込んできました。
疑問に思ったのが中学生に入ってからの英単語のテストのときです。
“「鮫」という意味の英単語を次の4つの中から選びなさい。“
という問題が出されました。
「ああ、JAWSだ!」と思って探したのですが、見当たらないのです。
Sharkはあっても、Jawsという綴りの単語はどこにも書かれていませんでした。
不審に思いテスト後に辞書で調べてみると、JAWSは日本語訳で「顎(あご)」という意味だったのです。
もくじ
映画ジョーズのタイトルの意味は顎(あご)だった
妙な気分でした。
何回調べても検索結果はあご。
GoogleやYahooやBeingで調べてもやっぱり“あご”で出てきます。
作中で登場するビキニの女性も、船乗りのクイントも“あご”に食い殺されてしまったとでもいうのか?(笑)
いや、あれはどう見ても体調6メートル、体重4トン越えの巨大ホオジロザメに間違いありません。
映画のパンフレットだってサメが描かれているではありませんか!
JAWSはJAWという単語の複数形です。
顎は上あごと下あごの2つで成り立っていることを英語で正しく表そうとすると、複数形になります
つまり、JAWSです。
もしタイトルが「THE SHARK」だったら?
おそらくこの「JAWS(ジョーズ)」という名前の由来は、食われたら終わりという恐怖を植え付けるために、原作者のピーター・ベンチリーによってわざわざ命名されたのでしょう。
そしてもしタイトルが『THE SHARK』だった場合、『JAWS』のようにヒット映画として世界に広まってなかったかもしれません。
なぜなら“サメ”とするより“ジョーズ”とする方が、作品の持つ恐怖の魅力を最大限引き出すことができるからです。
『JAWS』こそ恐怖を最大引き立てるポイント

ジョーズが映画として公開される前、サメという生き物の恐ろしさはあまり世間に認知されていませんでした。
海近くに住む両氏の人や海洋学者の間では恐ろしい生態を持った魚であることは常識だったのかもしれませんが、我々一般人には知る由もないことです。
シャーク(人を食べる恐ろしい魚)ではなくシャーク(フカヒレスープにできるおいしい魚)という認識の方が一般的だったのだと思います。

サメという生き物を恐怖の権化のように魅せるために重要なことは何か?
人々から怖がられ、夏に海に入ることさえためらうほどの恐怖を感じさせる作品に仕上げるための鍵は何か?
タイトルです。
どんな名作書籍や映画もそうです。
内容が素晴らしくてもタイトルがダメでは読まれはしません。
読まれなければヒット作になることもないし、映画化も何もあり得ない話です。
単なるフカヒレスープになる“SHARK(シャーク)”ではなく、人を喰らう“JAWS(ジョーズ)”とすることによって、ホラー映画として最高の価値を発揮するのです。
事実この映画の公開後、人々の持つサメへのイメージは一変しました。
事実よりかなり歪曲し誇張したサメの描かれ方をしてはいますが、“JAWS”というタイトルとして公開することで、サメ=人を食べる化け物に変わったのです。
サメの何が怖いのかというと、海面スレスレを泳いだ時に見える背びれはもちろん。
一番恐怖を感じさせるポイントはというとあの巨大な口ではないでしょうか?
噛まれたら人間の体などひとたまりもない、圧倒的な顎の存在。
強靭な体をしたアメリカンフットボールの選手やボディビルダーでも真っ二つになってしまうことでしょう。
海中観察用の鉄のケージがサメにかじられてへし折られてしまったということは、実際にあるようです。
映画ジョーズの中でも、サメに噛まれた終わりという恐怖を鑑賞者に伝えるために、いろんな演出がなされていましたよね。
- ビーチで遊ぶ人が海中に引きずり込むシーン
- 遺体の傷の悲惨さ
- 船底の底の大穴
- サバイバルナイフのように鋭利な歯
- 海面から出てくる巨大な口
あの中に入ったら終わるという恐怖を最も感じさせるもの。
それは、巨大な体や背びれやパワーでもありません。
JAWS(顎)なのです。
さらに書けば、サメの恐怖を演出する特徴的な背ビレや黒くて大きな体。
「ダーダン・・・♪ダーダン…♪」という死が迫ってくるように感じさせる有名な音楽の演出も、サメのJAWSが持つ恐怖を演出させるための布石だと思うのです。
もしもホオジロザメの口が恐ろしく小さく、のっぺらぼうのような外見だったらあれほどの恐ろしさを演出することはできなかったでしょう。
ただの愛らしいクジラとして描かれていたことでしょう。
原作タイトルを『JAWS(ジョーズ)』と命名し、スピルバーグはそれを映像とすることで、
「アイツに食われたら一貫の終わりだ!」
という、サメのホラー映画としての恐怖を創り出したのです。
我々の頭の中からサメはフカヒレスープではなく、人を食う海獣に変わりました。
まとめ
- JAWSの意味はサメではなく顎(あご)
- サメの持つ恐怖を最大限引き出すため
- タイトルが『SHARK』ではヒットしない可能性があった
ときどきTVのCMで「タウリン1000mg配合!!」って見かけますよね?
あれもタイトルメイキングの効果です。
1000mgって要するに1gのことです。
1gという数字に嘘偽りはありませんが、なんともしょぼい数字に見えてしまいます。
誰も買って飲みたいなんて思わないでしょう。
“タウリン1g”で販売していたとすると、薬局にもコンビニにも大正製薬の商品は並んでなかったかもしれません。
大正製薬という会社自体、ここまで大きな会社に成長することも無かった可能性だってあるのです。
『JAWS(ジョーズ)』だって同じことです。
もし『THE SHARK』なんてタイトルで映画化していたら、ただのB級映画として終わっていた可能性だってあるのです。
(USJから消えていたかも・・・)
サメのチャームポイントならぬ恐怖ポイントを顎にある巨大な口と鋭い歯にすることによって、名作にすることができたと思うのです。
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